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異文化好き好奇心人間の世界考察ブログ

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旅のげっそり話 その1 ブルネイ航空の思い出

旅行中はいろいろなことが起こります。それはビックリすることや楽しいことばかりじゃない。ときには思い出すのもゲッソリなことも。

忘れもしないブルネイ航空。あるとき夫と私はこの航空会社を利用してしまいました。だってタイ航空が高かったんだもん。

行きはよかったのです。ブルネイ航空の飛行機に乗ると離陸前に「旅のお祈り」っていうのがスクリーンに映し出され、「アラー オー アクバ~ル」っていうのが流れます。そして飛行中はメッカの方角が常にスクリーン上で確認できるようになっています。そういうことすべてが興味深かった、行きの機内では。

帰りの便は夜10時頃の出発予定でした。機上の人となったらあとは寝るだけなので、その日は最後の日を思い切り楽しもうと、朝からずっと外を歩き回ってクタクタに疲れていました。それなのになかなか搭乗手続きが始まらない。しかも何のアナウンスもなく、一体いつまで待たせるのかとイライラしながらゲート前で2時間近く待ちました。しかしやっと搭乗ゲートが開いて機内に乗り込み「あ~つっかれたぁ」と座席になだれ込むように座るや否や、スチュワードの一人が夫のところにやってきたのです。
「お客さん、申し訳ありませんがいったん降りてください」
一体何のこと?驚いている間に夫は連行された。

わけがわからず不安な気持ちで待つこと約15分。青い顔をした夫が戻って来ました。
「えらいことになったぞ」
機外に一度連れ出された彼は、客席乗務員にこう言われたのだそう。
「この飛行機の乗客の中に体の不自由な方が一名います。法律では障害者は介護人が同行しなければ飛行機に乗れないことになっているのですが、手違いで介護人がいないのに予約手続きが取られてしまったのです。そういう事情なので、申し訳ないのですがあなたに介護を引き受けていただきたい」
何だってぇ?夫はもちろん断りました。だって極限まで疲れていたし、大体そういうのは乗務員の仕事ではないか。
「我々はそれぞれ職務がありますからできないのです」
「私がノーと言ったらどうなるんですか?」
「その場合はこの飛行機は飛びません」
ふざけるな!と思ったけど、押し問答の末結局書類にサインさせられてしまった、そう言うのです。

夫と私が顔を見合わせて途方にくれていると、一人の男性が車椅子に乗ってやってきて私の隣の席に座らされました。見るところ彼はヨーロッパ人のよう。履いている靴の形が既製品ではなかったので、どうやら障害というのは下半身に関するものらしい。スチュワードは詳しい説明もせずにサッサと行ってしまいました。この男性が一体どのような障害を持っているのか、どのようなお手伝いが必要なのか、さっぱりわかりません。車椅子に乗っているということはトイレの補助をすればいいんだろうか・・・

そんなことを考えているとその男性が激しく咳き込み始めました。「グォッ、フオッ、ゴホッホッ、グワーッ」
も、もしかして・・・何かの感染症では?
そもそも何人なんだろうと思って尋ねて見ると、私の顔をみて微笑んでいるだけで質問には答えない。も、もしかして知的障害なのでは?


しばらくして、スチュワーデスが飲み物のワゴンを押してやってきました。私が隣の男性に「飲み物、何にしますか?」と聞くと、彼はかすかに口を動かすけれど聞き取れない。でもどうやらMで始まるものであることはわかったので、ミルク?と聞いてみたけれど返事はなし。ドイツ人かなと思い、ミルヒ?と言ってみる。やはり反応なし。あー何語で話したらいいんだろう。そのときスチュワーデスがテトラパックに入ったマンゴージュースを見せて「これですか?」と言いました。そうしたら彼は嬉しそうに頷いているんです。Mで始まる飲み物ってマンゴジュースだったの・・・食事は「バミー・ゴレン(マレー風焼きそば)」。隣の彼は美味しそうにそれを食べ始めました。スプーンとフォークを器用に使って。(ナイフとフォークじゃないよ。)あまりに怪しすぎる・・・

その後何度かトイレに同行し(これは夫がやりました)、精神的にも肉体的にも疲れ果てた頃、彼は震える手で紙ナプキンをつかみ、そこにボールペンでなにかを書きました。手を細かく動かすのに苦労するらしく、とても汚い字で読みにくい。
「ご迷惑をかけてすみません。あなたたちの旅を台無しにしてしまいました」
ドイツ語で書かれていました。ちょっとホッとして、「いいんですよ、気にしないで」と言うと、さらに何かを一生懸命書いています。
「私はタイに住むスイス人です。数年前にバイクで事故に遭い、体が不自由になりました。話すこともうまくできません。今回は三回目の手術のためにスイスに一時帰国するのです」
そうだったのか・・・道理でマンゴージュースを飲み、まるでタイ人のようにスプーンとフォークで食事をするわけだ。

事情がわかったら自分たちが世話係にさせられたことに対する怒りは消え、その男性の身の上に同情し、心配になりました。手術うまくいくかしら・・・

だけど乗務員の態度はヒドイよ!私たちに全部押し付けて平気な顔してる。(しかもスチュワードは私のズボンにコーヒーをこぼした。)きっと、夫がヨーロッパ人、私がアジア人だというので私たちに白羽の矢が当たったのでしょう。私以外の女性乗客はほとんどみなスカーフを被ったムスリム女性で見知らぬ異性のお世話なんてできるわけがない。

飛行機を降りるときには何か粗品くらい手渡されるのかと思ったら、Thank you, Sir.の一言だけ。
Thank you, Ma'am.はナシかい?このショーヴィニスト!
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  1. 2005/01/15(土) 15:16:51|
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