わいるどわ〜るど 

異文化好き好奇心人間の世界考察ブログ
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私の本職は一応、翻訳業ですが、(いちおうとするのは、関係ないことにいろいろ手を出して、メインのことをサボりがちなもので・・・)たまに通訳もやります。

でも通訳はあまり向いていません。何しろ頭の回転が速くないので、スッスッと言葉が出てこないということもあるし、通訳の仕事のときには、「情報を別の言語に変換する」という作業の他に、「ニコニコする」かつ「ピシッとする」、そしてクライアントに気を遣うなど、同時にいろいろやらなくてはならなくて、トロイ私には荷が重いのです。

翻訳だと、何を着て仕事しようと、しかめっ面でキーボード叩こうと、全然構いませんし、
「あ〜、わっかんないなーっ。ちょっと休憩〜」
と、コーヒーを啜りながら、ブログ回覧してても怒られない。納期さえ守れば、誰にも何も文句言われません。

ですから、「通訳が得意」という人は私の憧れ。ニュースで首脳会談の様子が映り、首脳の後ろにしゃがみこんで黒子のようにお仕事をしている通訳者の姿を発見すると、
「あんなところで仕事ができるなんてすごいなあ」とか、
「椅子にくらい座らせてもらえないのかしら。あれじゃ、疲れるでしょ」とか、勝手な感想を抱きます。

国と国の間には、ご存知のようにいろんな摩擦があります。様々な「意見の相違」や「事実認識のギャップ」が存在するのでしょうが、私には難しいことはよくわかりません。

しかし、「言語変換者」のはしくれとして、いつも思うことは・・・・

どれだけニュアンスが伝わっているものなのかな〜

ってこと。

政治の舞台で活躍される通訳者の方々の能力を疑うわけではありません。言いたいのは、翻訳って、情報の変換だけではないということ。

医学翻訳などでは、情報を正確に訳すことが重要で、下手なニュアンスなど出してはいけないことになっていますが、他の多くの分野では必ずしもそうではないです。むしろ、ニュアンスを伝えることが最重要とされる場合もあります。だけど、これが難しい。

ビジネス通訳のアルバイトで仕事場に行き、交渉が始まると、日本人クライアントの口から真っ先に出てくる言葉。
「よろしくお願いします」
まず、これを訳さなければなりません。
でも、「よろしくお願いします」っていう表現はドイツ語にありません。しかたないから、「お目にかかれて光栄です」とかなんとか言うわけですが、「よろしくお願いします」と「お目にかかれて光栄です」は同じではない。

同じ表現がなかったら、あるものの中から一番近いと思われる表現を探して代用するしかない。ニュアンスは多少違いますが、無理やり直訳しても奇妙なだけですから。

そのくらいなら、まあ別に問題は起こりませんが、一番嫌なのは冗談の通訳です。たいてい交渉中ではなく、みんなでお昼ご飯を食べたりしているときに、場を和まそうとしてか、いきなりどちらかが母国語でジョークを言う。そして、
「はい、訳して」
という顔でこちらを見るんです。ジョークの通訳ほど大変なことはないのに、本来の仕事時間ではない昼食時にそのような難題を気軽に振られると、ほんと焦ります。

日本人のジョークは主に駄洒落なので、訳しようがないし、ドイツ人のジョークは嫌味っぽくて、日本人はびっくりする。

ここで機転の利く通訳者なら、適当に別のジョークに摩り替えて乗り切るのかもしれませんが、咄嗟にオリジナルジョークなど、とても思いつきませんもの。困りますヨ。

適当なことをひとことふたこと言って、スルーしちゃいます。(ゴメンナサイ)

もちろん相手は笑いませんが、私、知りません〜。

単なる情報の変換なら、さほど苦労しませんが、笑いを取るということは、聞く人に「可笑しい」という感情を呼び起こす必要がありますから、そこにはニュアンスの翻訳が必要になるのですね。

でも、この「ニュアンス」って日本人同士の間でもうまく伝わらないことがあって、「そんなつもりで言ったのじゃありません」ってことが多々ありますよね。同じ言語を使っている者同士ですらそうです。

他言語話者の間では何をかいわんや、です。

それでも、当人同士の間のコミュニケーションで生じた誤解なら、「そういうつもりじゃなかったのよ〜」って直接言えばいいことです。しかし、言葉の通じない相手には、通訳者を通して弁解しなければならない。

通訳者がニュアンスを100%理解したかどうかの保障なんてない。通訳者も人間ですから、誤解することだってあるでしょうに、通訳という立場上、「てっきりこういう意味だと受け取りました」は許されないのが厳しい現実です。

想像しただけで、怖ろしい・・・





□ Comment
・キツイですよね〜
様々な言語の人とプロジェクトを組んで達成しようとする場合にも通訳さんをお願いすることがありますが、この様な場面ではかなり面倒になりますね。
結構な期間、一緒にやっていくわけですから用件以外は話さないというわけには行かないです。

しかしそのような会話は仰るとおり通訳さんの手には負えませんね。
仕方なく通訳さんが社交的なつきあいを引き受けて下さる場合もありますが、業務として会社に予算を付けてもらえる場合に限られます。

やはり一番良いのは何らかの共通点を見つけ、立ち位置を確認しあって当人同士で意思の疎通を図るということでしょうか。
どんなに拙くとも最低一つは互いの気分が理解できるものを見つけると次第にここは通訳さんを呼んで、という場面が減るようになってきます。
同業者ならではの相手の言語で標準のジョークなどを見つけておくこと位はしても良いように思います。

それにしてもオンデマンドで通訳する方の苦労はいかばかりかと思います。
2005/10/21(金) 01:03:32 * URL * panics #-[Edit]
・panicsさん
技術系分野の通訳業務だと、多少は気楽な部分もあるかと思います。外国語ができなくても、技術者同士は通訳に完全に頼らずとも専門用語と勘で通じるところもあるようで。

これが政治となるとかなり厳しいでしょうね・・・
2005/10/21(金) 13:26:33 * URL * ビアンカ #JeDKLqWY[Edit]
・翻訳とは違うのですが
おはようございます。
翻訳とは違うのですが・・。
昨日、母がいつも縫って貰っているところにスーツの注文にいきました。こちらからチョコレートを持ってきたので、それもお土産に持って行きました。そして「これ、つまらないものですけど」って、すら〜と話す自分を発見しましたよ。
まだまだ「日本」を忘れていませんね。良否はどうでもよいのですが、まだまだ、日本にスイッチを切り替えられるんだ、と思いました。
2005/10/22(土) 07:15:25 * URL * nyf1403 #-[Edit]
・すごくわかります
こんにちは。
おっしゃっていることよくわかります。特に「よろしくお願いします」これです。ただ通訳するだけなら良いのですが、これをドイツ語でなんていうの?と聞かれた時すごく困ります。クライアントが一言でもドイツ語を発して、ドイツ語圏の方に親近感を抱かせようという、その気持ちは痛いほど分かるのですが、その始めに発した「よろしくお願いします」を再度最後にも使われると、もう困ってしまいます。
また、ジョークの時も同じく困りますが、これには通訳者の間で有名なエピソードがあります。「今、彼は日本語でジョークを言いました。笑ってあげてください。」と相手に言うのです。私も一度だけ使ったことがありますが、場内爆笑(失笑?)の渦でした。
2005/10/22(土) 17:31:41 * URL * Kaninchen #-[Edit]
・Kaninchenさん
いらっしゃいませ。

ジョークの切り抜け方、大笑いしました!私も今度、その手を使ってみます。

クライアント本人には、少々申し訳ありませんけどね・・・
2005/10/23(日) 23:17:17 * URL * ビアンカ #JeDKLqWY[Edit]

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