わいるどわ~るど 

異文化好き好奇心人間の世界考察ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

博士の愛した数式

小川洋子「博士の愛した数式」。

読みました。評判を聞いて気になっていたのに、やっと今頃手に取ったのは何故でしょう。

本当に美しく、感動しました。それしか表現を知らないのがなんとも情けないです。

幸せな気持ちになると同時に、かつて出会った一人の教師のことを思い出していました。私が今までに教わった中で、最も好きだった先生の一人。数学の先生です。

もともと、数学はあんまり好きじゃありませんでした。国語や英語や社会が好きだった私。数字をわけのわからない公式に当てはめて問題を解くのは面倒で、面白いと思った記憶はありません。ですから、数学は得意科目の中には入りませんでした。

ところが、高校2年生でアメリカの公立校へ留学したとき、数学は必須科目だったのですが、「高2なら大体このレベル」と勝手に決められたクラスはしかし、いくらなんでも程度が低すぎた。高2なんて冗談じゃない、日本だったら中1くらいのレベルです。

いくら数学の苦手な私でも、あまりに簡単すぎて、授業を聞く気にもなれません。週に1度くらい、テストがありましたが、10分で終了。退屈で、退屈で・・・アメリカってみんな、ああなのでしょうか。それとも、私のいた高校が特別?

そんな私に先生が聞くの。
「ビアンカ君は、どうしてそんなに数学ができるの?」
別に、できないのに。
「ビアンカ君は、数学の天才だね。君がこんなクラスにいたんじゃ勿体ない!是非、私の別のクラスに来なさい。一番上のクラスも受け持っているんだよ」
それで、クラスを変わることになったのですが・・・

移動したのは、「Math. Analysis」というクラスでした。どうせまたたいしたレベルじゃないんだろうな~と思って、教室に入って行くと、な、なんか雰囲気が普通じゃない。前のクラスは男女半々くらいだったのに、今度のクラスはほとんど男子のみ。しかも、分厚いメガネをかけた、いかにも「ダサ~っ」って風の男の子達です。

そのクラス、「微分・積分」を教わるクラスだったのですが、それはさすがに私には難しすぎ。日本ではまだ習っていなかったし、学期の途中でもあったしで、授業を聞いていても何のことやらさっぱり。まるっきり、パープリンです。先生はさも楽しそうに説明してるけど、私、ここで一体どうしたらいいのでしょうと落ち込んでしまいました。

でも先生は、チョークで黒板に図を描きながら、私の方を向き、ニコニコして、「ビアンカ君。ちょっと待っててね」って言うのです。
しばらくして、「じゃ、テストタイムにしましょう!」
テ、テストって・・・私はどうなるの?

用紙が配られる中、先生は、
「ビアンカ君。椅子を持ってこっちへおいで」
言われた通り、先生の机へ行くと、
「これからみんなはテストだからね。さあ、君の時間だ。微分はまだやったことないね?じゃ、始めよう」

そして、私と先生のマンツーマン授業が始まった。そのクラスでは毎日のように小テストがあり、他の生徒が問題に取り組んでいる間、私は先生と一緒に勉強し、他の生徒が説明を受けている間は、私が問題に取り組むという、二重授業。

先生の授業は、いまだかつて受けたことのないような素晴らしい授業でした。それまでは数学っていうと、ただ公式を与えられて、「これを使って解け」と言われるだけで、少しも楽しくなかった。でも、先生は「公式を考える」ところから教えてくれたんです。それも、一方的に説明するのではなく、紙に図を描いて、「まず、これがこうあるとするね。こっちにこう、移動させたらどうなるかな?」「そうだね。じゃその次は?」というふうに、少しづつ、ヒントを与えながら、私自身が答えに到達するのを導くやり方。私が自分で答えを発見すると、「その通り!発見したね。凄いね、ビアンカ君!」先生は心から嬉しそうでした。

数学って、こんなにもワクワクできるものなんだ。とても意外でした。毎日、わずかな時間ではあったけれど、先生と一緒に考え、閃きを得たときの爽快感。忘れられません。おかげで、微分・積分だけはすっかり得意になって日本へ帰国。エッヘッヘでした。何もやらなかった幾何のほうは、やはり全然ダメでしたが・・・

しかし、その後私はやはり文系に進み、数学の能力がそれ以上伸びることはありませんでした。それどころか、今となっては微分・積分のなんたるかも、まったく覚えていない。

無駄だったといえば、無駄でした。

でも、先生と勉強した時間は、私にとってとても素敵な思い出です。「わかった!」と思った瞬間の喜びも、いつまでも忘れない気がします。

今でも数式と戯れているのかな、先生・・・


アメリカンハイスクールに関する過去記事:
自立していない日本の私
旅のびっくり話 その1 アメリカン・ハイスクール




スポンサーサイト
  1. 2005/09/29(木) 10:19:13|
  2. | トラックバック:1
  3. | コメント:6
<<背筋力と集中力 | ホーム | 自己紹介バトン>>

コメント

「博士の愛した数式」、僕も読みましたよ。いい本でしたねー。

本当に穏やかな内容で、美しく、ほのぼのします。登場人物の過去をほのめかしつつも、下手に劇的な展開に持っていかず、あくまで“今”のストーリーにのみ絞っているのが好印象でした。

僕も数学は大の苦手です。
ビアンカさんのように、アメリカのハイスクールで習っていたらもっと好きになれていただろうか…
発見と好奇心こそ、学習・学問の意欲の源泉なんでしょうねー。
  1. 2005/09/29(木) 21:26:27 |
  2. URL |
  3. まりお #-
  4. [ 編集 ]

まりおさん

お久しぶりです。理系の方はみんな数学がお好きなのかと思ったけど、必ずしも関係がないのですねー。

アメリカの先生にもいろいろいました。あの先生は、ちょっと特別だったかも。教師になる人は、誰でもその学問が好きなのでしょうけれど、いかに自分が学問が好きかということが生徒にも伝わるような先生って、素敵だと思います。
  1. 2005/09/30(金) 07:59:32 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

実は私も

高校2年の時に一年ホームステイをしていました。カナダのアルバータ州でしたが、USHistoryのような必修はなかったのでラッキーと思いきや、今はそんなものが勉強できたらよかったのになぁと思っています。
  1. 2005/10/02(日) 03:28:16 |
  2. URL |
  3. ヒロシ #-
  4. [ 編集 ]

ヒロシさん

私はワシントン州でした。カナダはHistory必修じゃないのですか。あれは、テストが大変でしたー。

しかも、何も記憶に残っていません・・・
  1. 2005/10/02(日) 17:30:04 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

トラックバックをさせていただきました

私も「博士の愛した数式」に感動したものの一人です。久しぶりにブログ村のエントリーを確認していましたらあなたの記事をみつけ思わず最後まで読ませていただきました。
私が書いた関連記事もあるのですが、一番最近の記事にトラックバックさせてください。
  1. 2005/10/25(火) 21:51:26 |
  2. URL |
  3. 数楽者といいます #-
  4. [ 編集 ]

数楽者さん

はじめまして。コメントとTB,ありがとうございます。

物語に出てくる数式の静けさ、端正さと、登場人物の交流の暖かさ、柔らかさとのバランスが良くて、心地よいお話でした。

数楽者さんのところにもお邪魔させていただきます。
  1. 2005/10/26(水) 19:50:52 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://ethno.blog13.fc2.com/tb.php/232-07a90c94
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

点を打って線で結んでお絵かきクイズ 中1 比例・反比例 座標

 前の時間に点の位置を数のペアーで表す方法である「座標」について勉強しました。今日ご紹介する課題は,与えられた座標と一致した点を座標平面(方眼紙です)上に打ったり,座標平面上の点の座標を読み取って座標形式に表す練習をクイズ感覚でやれます。? ? 生徒たちには
  1. 2005/10/25(火) 21:45:48 |
  2. 数楽者のボヤキ・ツブヤキ・ササヤキ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。