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異文化好き好奇心人間の世界考察ブログ

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コミュニケーション力

先日、子供の言語習得についてエントリーしましたところ、多言語に堪能で、外国語学習や言語学の理論に精通されている澁澤寅彦さんより、子供をバイリンガルで育てることの長所や問題点についてアドバイス頂き、また関連図書をお薦め頂きました。

そのうちの一冊、市川力 著 「教えない」英語教育 という本を読んでいたら、面白いことが書かれていました。

OECD国際学習到達度調査(国際的にはPISA試験と呼ばれることが多いようです)というのがありますが、2004年度のこの試験において、日本の子供の国語読解力は前年度の8位から14位に下がったのだそうです。

いえ、それは面白くないんですが・・・

どういう点がまずかったのか、というのが興味深いんです。2004年度の試験で出題された問題のうち、正解が少なかったのは、「落書き」と題された問題だったそう。

「落書き」について、賛成派と反対派の2通の手紙を読み比べ、どちらに賛成するか、そしてその理由は何か、自分の言葉で論じよという内容。

著者によると、この問題ができない子が多かったのは、「他者の意見をしっかり分析したうえで、自分の意見を論理的に構成し、読み手を納得させるような文章を書く力」が日本の学校教育では充分に養われていないことを表すのではないか。

なるほどです。振り返ってみると確かに、そういう訓練はあまり受けてこなかった気がしますね。

コミュニケーションの柱。それは、考え、聞き、話すこと。
そのうちの「考える」。いろんなレベルがありますが、国際的には「論理的に考える」ことが重要だとみなされているんでしょうね。

そして「聞く」。これについては、私、ちょっと考えがあります。

あくまで、ドイツと比較してのことに過ぎませんが、日本の国語教育では「聴解力」があまり重視されていないのではないか。そう、感じるんです。

私がドイツ語を勉強したのは、ドイツの大学の外国人向けドイツ語講座でした。授業では頻繁にテストがあったのですが、その内容は「文法」「読解」「聴解」の三本立て。そのうちの聴解試験ですが、いわゆる日本式の「ヒアリング問題」とは随分趣向が違っていました。

日本式ヒアリングだと、まず短いお話を聞き、その後で内容についての質問文が読み上げられます。そして、答えの候補がいくつか読み上げられ、その中から正しいものを選ぶ。そうですよね?

これに対し、ドイツ式聴解試験には二つの種類がありました。それは「書き取り」と「要約」です。書き取りというのは文字通り、聞いたことをそっくりそのまま書き出す試験。内容は理解してもしなくても、とりあえず構いません。

なあ~んだ、随分簡単だね、と思うでしょう。でも私、これにかなり手こずってしまいました。日本式ヒアリングの場合、すべてを一語一句正確に聞き取っていなくても、要点の部分さえおさえれば大丈夫です。全体をまーるく理解すればOK。しかし、書き取りの場合、耳をそばだて、全神経を聴くことに集中させていなくてはならない。ちょっとでもボケーッとする瞬間があってはダメなんです。

いや~、大変大変。

そしてもう一つの「要約」。こっちは多少聞き漏らしても問題ありません。全体的な内容が把握できれば。でもやっぱり簡単ではありませんでした。なぜかというと、理解しただけではだめで、それを自分の言葉で論理的にまとめなくてはいけない。自分の言葉っていうと楽勝に聞こえますが、ドイツ語でです・・・まだ、自分の言葉になっていませんから~。

まったくえらいこっちゃでした。

そのとき、「あ~、私は今までこういう訓練、受けて来なかったんだな~」と、つくづく思いました。(自分の能力のなさを教育のせいにしてはいけないかもしれませんが・・・)

悪戦苦闘して、どうにかこうにか入試にパスして、やがて大学生活が始まったんですが、初めて講義を聞きに行ってふたたびボーゼン。だって、ほとんど板書してくれないんですよ、ドイツの教授って。90分間、ひたすら喋るだけ。辺りを見回すと、みんな黙々とノート取ってます。耳で聞いた情報をせっせと文字化してるんです。す、すごい・・・・

ドイツ人って耳がいいんだな~、なんて感心して見てましたけど。

考えてみれば、日本人ってあまり耳を使わないかも知れません。講演会や説明会では必ず資料が配られて、説明する人の顔も見ずに、みんな資料読んでるし。

漢字文化ですから、どうしても視覚情報に頼りがちで、耳から情報を得るのは不得手なのかもしれない。

コミュニケーションの重要な要素である「論理力」と「聴く力」、日本人は国際水準からするといまひとつってことなんでしょうか。

もちろん、国語学習というのはその国で生活する上で必要な能力を養うのが目的ですから、外国でああだから日本も・・・ということではないと思います。他の部分でよその国の国民より優れている可能性も充分ありますし。

だけど、お仕事などで欧米人とコミュニケーションを取る必要のある人にとっては、ちょっとは参考になるかな?と思って・・・

最後の「話す」については、まだ考えがまとまらないのでまた今度。
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  1. 2005/09/23(金) 21:51:35|
  2. 言語
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

はじめまして

ココミルーと申します。
私は4年前にフランスに留学して以来、言語に関して、コミュニケーションに関して、興味をもっておりましたので、
とても参考になるご意見でした。

私も最近資料に頼る自分を感じています。
私が最近原因として考えていたのは主にパソコンによるものですが、
(あとで確認すればいいやという意識が無意識に働くと言うものです)
もともと聞く→理解という訓練を十分に受けてこなかったという事実は
たしかにあると思います。
そして他者の意見を噛み砕いて理解してそれに対して論理的に意見を述べると言うもの、ディスカッションの能力ですね、
私も常々自分の能力の足りなさを感じます。。。

それにしても日本人に比べてフランス人も中国人もドイツ人もなんて口が早くまわるんでしょう!みんな理解できてるのかしら?と
よく留学中に思ったものですが、
日々訓練ですよね!
  1. 2005/09/25(日) 00:36:36 |
  2. URL |
  3. ココミルー #-
  4. [ 編集 ]

黒板

イタリアでも、授業で黒板に書いてくれず、先生がぺらぺらしゃべり、皆、それをノートにとっていました。私が受けたのはイタリア語の授業ではなく、美術史とか化学とか。大変でしたー。何度も聞き返したり黒板に書いてもらったりしました。
私は日本はなんて先生がわかりやすくするために、工夫してくれているんだろう、イタリアは先生は読むだけ、しゃべるだけ、で楽していると思っていましたが、聞き取りの訓練になっているとは思い付きませんでした。なるほど....
  1. 2005/09/25(日) 03:55:04 |
  2. URL |
  3. yuranoto #-
  4. [ 編集 ]

ココミルーさん

はじめまして。

フランス語って、ドイツ語と違って、書いてある文字と聞こえてくる音とに隔たりがありますよね。というより、発音しない文字がたくさんで・・・

なんだかとっても大変そうな気がしちゃうんですが、どうなのでしょう?

どうぞよろしくお願いします。
  1. 2005/09/25(日) 13:34:09 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

yuranotoさん

イタリアでもそうなのですか。

耳で聞いてノート取るの、難しいですよね。私なんて最初の頃、自分のメチャクチャなノートを隣のドイツ人学生に見られるのが恥ずかしくて~。
  1. 2005/09/25(日) 13:36:53 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

ノート取り=聴解+表記

大変面白い記事ですね。聴解の問題は、確かに日本語ではディクテーションてのは、あまりしませんね。それは、聴解(聞いて理解する能力)の問題ではなく、表記(正しく書く能力)の問題だからだと思います。講義のノート取りは、聞く能力だけでなく、書く能力が問われる難しいタスクですね。TBさせていただこうと思います。
  1. 2005/09/26(月) 02:23:54 |
  2. URL |
  3. ヒロシ #-
  4. [ 編集 ]

ヒロシさん

なあるほど!確かに「表記」という作業も難しいですね。漢字がわからなくて書けないってこともあるし。

逆に、欧米にいると郵便物の名前のスペルが間違っていること、非常に多くありませんか?馴染みのない外国人の名前だからしかたないのかもしれませんが、それにしても、ちょっとよく見て写せば済むことなのにと不思議です。

もしかして、彼らは視覚情報を正確にキャッチするのが苦手なのかな?
  1. 2005/09/26(月) 12:08:49 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

外国語を身につけるための日本語レッスン

ビアンカさん、こんにちは。

お書きになった内容が、
「外国語を身につけるための日本語レッスン」三森ゆりか著(白水社)に凄く近いと思いましたが、それは著者もドイツで教育を受けたからでしょう。
こちらもお薦めです。
  1. 2005/09/26(月) 23:10:10 |
  2. URL |
  3. 寅彦 #frCxPgj6
  4. [ 編集 ]

寅彦さん

それは早速読んでみます。ありがとうございます。

先日、お薦め頂いた、中津「母国考」ですが、とても興味深く、また共感しました。
  1. 2005/09/27(火) 08:43:49 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

見慣れないものの表記

郵便物の名前のスペルが間違っていることは、こちらでもよくあります。それはおっしゃるとおり、馴染みのない外国人の名前だからだと思います。日本でも外国人の名前はよく間違えられているんじゃないかなぁとおもいます。
  1. 2005/09/27(火) 11:08:44 |
  2. URL |
  3. ヒロシ #-
  4. [ 編集 ]

ヒロシさん

やっぱり、「慣れ」ですか。

確かに、私の苗字(ドイツ名)も、日本で読み間違えられています。
  1. 2005/09/28(水) 15:21:41 |
  2. URL |
  3. ビアンカ #JeDKLqWY
  4. [ 編集 ]

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