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異文化好き好奇心人間の世界考察ブログ

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ドイツの病院は他民族世界

あるとき、風邪をこじらせ重症の喘息発作を起こした上に、娘の吐き下しインフルエンザを移されてしまいました。あまりの苦しさにパニックに陥り、過呼吸を起こしてとうとう気絶。病院に運ばれ、そのまま入院になりました。

私が入ったのは三人部屋。すでにトルコ人女性とモロッコ人女性が入院していました。空いたばかりの真ん中のベッドを与えられ、しばらくぐったりとしていたら、看護婦が入って来ましたが、私の顔を見るなり「あら、あなたも外国人なの」と嫌な顔をするんです。でもそう言う看護婦自身もフィリピン人のよう。ドイツの病院はアジア系や東欧系の看護婦さんが多いです。自分だって外国人なのに変なことを言うなあと不思議に思ったのですが、じきにその意味がわかりました。トルコ女性とモロッコ女性はドイツ語が全くできなかったのです。

昼間はそれぞれの家族がお見舞いに来ていて、ドイツ語のできる人がいたのでよかったのですが、夜が来たら大変なことになりました。消灯が過ぎた後、トルコ女性の具合が急に悪くなり、苦しみ始めたのです。どうしたんですか、と声をかけてもドイツ語がわからないので返事をしない。そのうち激しく咳き込んで、三回連続で吐いてしまった。私は慌ててナースコールし、看護婦さんが飛んで来ましたが、本人は状況を説明することができません。それで私が「5分くらい前から急に苦しそうにして、咳き込んだ後、三回吐いた」と説明。看護婦はシーツを交換して戻って行きました。しかし、しばらくして再び嘔吐。ナースコール。状況説明。そんなことを数回繰り返し、「やっと落ち着いたか、やれやれ~」と思ったら、今度はモロッコ女性の様子が急変。結局、私はオールナイトでボタン押し・説明係り。(私も病人なのにぃ~)

夜が明けて、二人とも気分がよくなったみたい。でも今度は、トルコ女性がしくしく泣き出したんです。バッグから写真を取り出し、それを見つめながら「ベイビー、ベイビー」とつぶやいて泣いている。気になるけど状況がわからないし、トルコ語もできないから慰めようがなくて、黙って見ているしかありません。

回診の時間になりました。トルコ女性のところへは内科のドイツ人医師につきそってトルコ人医師もやってきた。このトルコ人医師は専門は全然違うのですが、トルコ語を話すので通訳を頼まれた様子です。聞き耳を立てるわけではないけれど、聞こえてきたやり取りによるとこんな状況。このトルコ女性は普段はトルコに住んでいる。以前から心臓を患っており、一度手術を受けているが再び悪くなったので再手術が必要だ。一度目の手術費用はモスクでカンパしてくれたのでなんとかなったが、今回はどうしてもお金が集まりそうにもない。悩んでいたら、ドイツに出稼ぎに行っている兄が「俺のところに遊びに来ている間に急に具合が悪くなったことにしてドイツで入院しろ。ドイツ人は優しいので、命の危険がある患者を無理やり追い返したりはしないだろう」と提案した。それで赤ん坊をトルコに残し、観光ビザでドイツへ来た。とはいえ、健康保険に加入していないため、病院側としてはそう簡単に手術はできません。トルコ人医師は同胞と同僚の間で板挟みになり、困惑している様子でした。

一方、モロッコ女性のほうは、悪性貧血および重度の胃潰瘍。彼女はゾロ~っとしたくるぶしまである民族衣装を着、頭はスカーフで覆い、金のネックレスやブレスレットをじゃらじゃらつけた状態でベッドに横たわっています。手や足の甲は刺青で真っ黒。そういう格好では顔色もよくわからないし、医学処置のさいにも邪魔になるので、医師は困っていたようですが、彼女の文化の価値観からすると、スカーフやアクセサリーを外したりパジャマ姿になるのは受け入れがたいものがあるらしい。

なんか二人ともすごく大変そうだよ~。

夕方になると病室には彼女たちの家族が差し入れるケバブの匂いが充満していました。大家族がドヤドヤとやってくるので、部屋は満員。まるでケバブパーティのよう。

なんやかやと異文化に圧倒されていたら、それが効いたのか、私の病気はすっかりよくなっちゃった。結局、一週間弱の入院で私はお先に失礼したので、彼女たちがその後どうなったのかはわからずじまいです。

その病院のあったフランクフルト近郊はとくに外国人が多い地域ではありますが(人口の20%強!)、こういうマルチカルチャーな場面はドイツの病院ではさほど珍しくないのかもしれません。

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  1. 2005/06/03(金) 10:58:36|
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